
鈴木京染店は創業六十余年、始まりは共同トイレ・風呂無し・六畳一間からのスタートでした。私が生まれる前のことです。貸家で父は井戸水をくみ上げ着物の洗い張りをし、自転車で外回りをし洗い張りの注文取りに駆けずり回ったそうです。
母は家に居て着物の解き、は縫い、縫製をしていました。それから数年後現在の土地を購入し、二年後に六畳二間風呂無し作業場付の住宅を新築。この時は家族が皆で4人になりました。当時自転車一台に4人乗りして共同風呂に出かけたことを鮮明に覚えています。
時代とともに洗い張りや染物の加工のほかに、着物の白生地・呉服の取り扱いと仕事内容も変わってきました。創業から15年経過したころから呉服販売を専業としつつ従来通りの洗い張りにも精を出してきました。
当初から当店は無店舗の商売でした。外回りも自転車、バイク、自動車と時代とともに変わってきました。
今から40年前、呉服の展示会ができるように店舗付きの住宅を新築しました。25年前には店舗を全面改築し今に至っています。
着物が飛ぶように売れた時代、ブライダル需要でお嫁入れに着物が売れた時代から考えると現在は呉服関係は氷河期です。着物の産地、問屋、小売店も需要の減少に耐えきれずバタバタと消えていってます。
時代と共に仕事内容も変化してますが、こんな時代でもお蔭さまで毎日忙しく仕事をさせてもらってます。今までのお客さまとのほか、新しいお客さまからの問い合わせやご依頼が増えています。なぜか今は亡き創業者の父、ご先祖様のご加護ではと思えるときがあります。感謝しかありません。
お客さまが納得できる商品・価格・サービス、丁寧な仕立て・安心のアフターケアーなど、当たり前と思えることを普通に毎日続けていくことだけを考えています。お客さまにおかれましては、これからもご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。

自宅脇のミニ花畑で栽培した花々が咲き始め仏壇に供えることができました。これからしばらくは花畑から収穫した花々で飾ることができそうです。