着物のクリーニングしてますか?とお電話いただくことがあります。やっていますよと、一応はお答えしますが、本心は当店では着物のクリーニングはやってません、お手入れをお受けはしていますが、と心の中でつぶやいています。クリーニングでいいんじゃないのと言われそうですが、着物のお手入れ方法は一筋縄ではいかないんです。着物の素材によっては縮み易い生地、色落ちしやすい生地、スレが出やすい生地、一点一点特徴があるんです。それを見極めたうえで汚れなどの状態に合わせて最適なお手入れ方法を決めていきます。お客さまから「丸洗いクリーニング」してくださいと依頼されたとき、どの方法がベターかなと着物を見ながら考えています。
着物のお手入れを気にする人がほとんどですが、長襦袢のお手入れも大切なポイントです。半襟に付着するファンデーション、皮脂のほか、脇、背についた汗も落としたいものです。特に緊張したときの汗は要注意。タンスに収納していると一年後に汗の部分が黄色く変色する場合があるからです。じゃどうするか。水処理で汗を徹底的に取り除くのが一番ですが、これが手間のかかる仕事なんです。でも当店では手間のかかる仕事を愚直にやってまいります。
では、着物の状態にあったお手入れ方法はどんなものなのかは次回から詳しくご説明したいと思います。