洗い張りとは
仕立て上がった着物を解いて元の反物の状態にし、水と洗剤で洗うことで水溶性のしみ・カビ・臭いなど、丸洗いでは取り切れない汚れもキレイになります。新たに糊を引き、巾を整え湯のし仕上げをすることで生地の風合いが新しくよみがえります。
私が洗っています
当店の東側に洗い張りの作業場があり、洗い・すすぎ・糊入れ・乾燥・仕上げの作業をしています。30年前までの着物のお手入れ方法は「洗い張り」が主流でした。水と洗剤で洗う洗い張りが絹の着物には最適です。
こだわり ~お客さまのご希望をお聞きする~
洗い張りを依頼されるお客さまのほとんどの方が仕立てまで頼まれます。お客さまのご希望の寸法になるか、汚れはどこにあるか、解く前に確認してから作業を開始します。
こだわり ~ていねいに手で洗う~
洗い張り専用の機械を導入したとしても、機械では思うように汚れが取れません。だから当店ではすべて手作業で洗っています。きものは汚れやすい部分が大体決まっており、共衿・袖口・裾などは丁寧に生地を傷めないように洗います。刺繍や箔の部分は細心の注意をし洗います。
洗い張りにかかる期間
お受けしてから2週間から3週間後の仕上がりです。お急ぎにも対応しますのでお申し付けください
よく聞かれること
ℚ.巾の詰まったきものは広くできますか?
A.ちりめんかお召の生地は縮みやすいものです。広くすることは可能ですが、湿気を吸うと再び縮む可能性があります。
ℚ.洗い張りをしないで胴裏の交換はできますか?
A.胴裏または八掛だけの交換もできますが、表地が汚れていたりカビ臭いときは洗い張りをし、仕立て直したほうが良い場合があります。
ℚ.自分で解いたきものの洗い張りは出来ますか?
A.出来ます。解き代を減額いたします。
ℚ.絞りの着物も洗い張りできますか?
A.出来ます。ただし水洗いするので絞りの立体感が少なくなります。
湯通しとは
反物をぬるま湯につけ、余分な糊やほこりを落とすことを湯通しと言います。特に紬の反物は湯通しを行うことで、生地がしなやかな風合いになります。また、余分な仕上げ糊を落とすことでカビの発生を予防します。
湯のしとは
テンターという専用の機械を使い、反物に蒸気を当てながら生地の巾を整え仕上げることを湯のしと言います。新しい反物の仕立てる前や、湯通しや洗い張りの最後の仕上げの工程で行います。
洗い張りの工程
①きものを解きます
②専用ミシンでは縫います
③水と洗剤で手洗い
④糊入れ、乾燥、仕上げ
⓹巻板で整えます
⑥洗い張りの出来上がり
ビフォー
長年愛用された草木染めの紬。古いシミ・汚れがあり、色ヤケもありました。状態を説明し、洗い張り・しみ抜き・ヤケ直しをすることにしました。草木染めなのでヤケ直しも慎重にしなければなりません。
アフタ―
洗い張り・しみ抜き・ヤケ直しの作業で新品に近い状態にしました。八掛は裾切れしていたので紬用のボカシ染の新品の八掛を使用。胴裏は洗い張りをして再利用し仕立て替えました。仕上がりが新品同様になりました。
料金 45,000円 新品八掛含む 税別